11.別れの時

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「まだ、あの人は帰らないのですね…。」 水野先生はふと、掲示板を見た。 そこには三年前にスタッフ全員で撮った写真が飾られている。 まだあどけない私の隣には高橋先生が笑顔で写っていた。 「そうですね。相変わらず向こうでも忙しそうです。」 「…そうですか。」 水野先生はふっと微笑むと長い廊下を歩いていった。 私も階段を下りて先を急いだ。 今から千尋達とランチの約束が入っている。 この病院は変わった。 先生が来てから、いなくなった三年後の今でも…そう思う。
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