11.別れの時

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「杏奈っ!こっち!」 少し大人目なレストランに入ると、さっそく千尋と直也君が手を振ってくれた。 仕事の後だけど、2人の顔を見たら疲れも吹っ飛ぶ。 2人を正面にバッグを下ろし席についた。 「お疲れ。」 直也君は私に氷入れの水を差し出した。 カランと氷の心地よい音が耳に入り、それを受け取る。 「ありがとう。今日も仕事楽しかった!」 喉がつ~っと冷たくなる。 「最近優はどう?俺、連絡してないんだよな。」 私は鞄から指輪を取り出して指にはめた。 窓から入ってきた真夏の光が指輪をキラキラ輝かせている。 「昨日、電話で話したけど忙しそうだった。今、救急部にいるんだって。」 「救急部っ!?そりゃ忙しいよ。あんま寝てないんじゃない?」 千尋は少し心配そうな顔をした。 「そだね。でも、先生がやることに私は反対しないよ。 まだ時間がかかるとしても私はずっと先生を待ってる。」
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