憂鬱

2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
宿鴉の寂声 紅霞に響く 直ぐに迎えがくるよ、と 弱道狂いを残影に 娼婦の嬌声 闇に懸想ず 貴方だけが愛しい方、と 騙し口さえ残英に 雀斑を両手で覆い 目をつむる一刹那の安堵が 抱えた膝に顔を埋め 息を吐く弱卒の防衛が 私を愛し 貴方を突き放す 握り締めた夜の帳に手を掛けて 蝶の標本に 「おやすみなさい」 どうしても絶えない独り言は 眠りへの逃避で口枷をしましょう 堕ちる最中も雀盲が疼く 逃れられない束縛
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!