昼月

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昼月

どこまでも高い青空と 悲しげな微笑は同じだと思う 弾痕ですき間だらけの心には 冷たい風がしみた いくつもの本を漁り すがれる場所を探した 仕方ないと呟きながら 屍の本心を慰めて あの日 途切れてしまった言葉が 今も胸に繰り返す あれが最後のチャンスだったと知っていたら 迷わず君を追いかけてた 不可逆な時の流れを恨み ただ流されるだけの日々 今年もまた一人で 川面の紅葉を追いかけた あの日 失った未来が きっと一番鮮やかだった もっと早く真実を知っていたなら 君を一人にはしなかったのに 風に誘われ 見上げた空から 真昼の月が見下ろしている .
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