予感 -詠い人の集い プチイベ-

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予感 -詠い人の集い プチイベ-

(詠い人の集い プチイベ お題:夏の終わり) 今年最後の花火が上がる 迫るように ゆらりと開いて その一瞬の生きざまを 逃すまいとするかのように じっと闇夜を見つめる君 君と僕 名字が似た漢字 一人っ子で 人見知りで 同時に相手を失った 気づけば都合のよい運命ばかり 指折り数えていた 骨を震わす轟音が 石橋に響く 冷気を含んだ風が 僕らの足をすり抜けていく 君をこんなに近くに感じたのは 初めてかもしれない そう思ったら急に 汗が出てきて 君の顔を見れなくなった 終わりと始まりの境界で 交差する二つの心 花火に吹き飛ばされてしまうくらいに 儚い惰性に揺られながら 僕ら二人 肩を寄せあって 歩いていけるかもしれないね 今日からしばらくは この予感で 僕は生きていける 君の意思とは関係なく その意味さえ得られるなら 僕は 全てをなげうつだろう
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