陽道

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陽道

薄々は気づいていた 知らないフリをしていただけで 焦点を 空ばかりに合わせていた みんな 遠くへ行ってしまうのね 私だけを残して 消えゆく背中 手を伸ばしても もう届かないの 優しい言葉が 胸を切り裂いて 耐えられないほどに痛む どうして 私だけ? 人より先にいたはずなのに さ迷ううちに 沼に足を踏み入れて 明るい一本道を歩いてきたあなたたちは 笑いながら こっちに手を振り去っていく ああ 今さら救いなど 薄汚れた服に顔を埋め 声を殺して泣きました
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