時雨 feat. 神山 流衣 様

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時雨 feat. 神山 流衣 様

列車の窓を打つ雨のように 流れ過ぎていく記憶たち 後悔をする暇もない程に 溢れては消えていく それは 本棚の裏に落ちた 写真を拾うように 遮断するのも 鮮明にするのも 容易ではなく また忘れた頃にふとよぎる 数えきれない思い出にまぎれ 繰り返す同じ情景 あの日の雨の匂いを思い起こす そこにはいつも君がいた 呼びかける透き通った声に 想いが僕という器から零れだし 思わず震える肩を抱き寄せた夜 確かに二人が一つに 重なっていたはずだった 寂しさを触媒にして 溶け合った情熱 心満たされるほど 冷めていく 刹那のエネルギーは絶大だけれど 長くは保たない それは僕らの 必然だった だけど差し出された傘と 優しく二人を包んでいた雨音は この胸に刻まれている 幸せという名で .
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