第一章

8/22
前へ
/26ページ
次へ
話を聞き、どう答えて良いのか迷っているとタイミングよく教室のドアが開かれた。 その音で立って談笑していた生徒が一斉に座り出す。 宝城も後ろに向けていた体を前に戻して入ってきた人物を見据えた。 入ってきたのは女教師。 金髪の長髪を後ろで纏めて鋭い目つきをしている彼女はスーツを着ていなければ教師には見えないだろう。 そのスーツも綺麗なボディラインを醸し出すひとつになっているのだから、魅力的だ。 そんな女教師は肩に出席簿をトントンと当てながら不機嫌そうな顔で透たち新一年生の顔を眺めた。 沈黙が暫く続き、そして、 「入学おめでとう。お前たちは晴れてこの学園の生徒だ。」 普通に切り出した。 少し拍子抜けだと思っているのは透だけなのか、他の生徒は動揺の色を見せていなかった。 「あー…そうだなー…出欠確認も兼ねて自己紹介でもするか。」 しかし、この言葉には全員が驚いたようでざわめきが起きる。 前持って言っておいてくれれば少しは心持ち余裕ができたとか、そんな理由だろうが。 「では、私の自己紹介も兼ねて例を見せてやる。」 そう一言言った後、教卓を思いっきり叩いた。 途端、地響きような振動が起き、誰もが静まり返る。 「私の名前は片桐 美空〈かたぎりみそら〉。1-Aの担任だ。私の精霊の属性は雷だ。私の授業で居眠りした奴は目を冷まさしてやるから覚悟しろ。独身で、年齢は秘密。そんでもって趣味は男あさりだ。安心しろ、年下には興味はない。この一年間私が担任になったからには、気合いを入れてビシバシと鍛えていくから十分肝に銘じておけ。以上だ。」 一瞬の静寂。 その後、拍手喝采を浴びたのは言うまでもない。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加