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「じゃあ、1番から順番に同じようにとは言わないが…そうだな…出席番号と名前、精霊の属性と趣味、そんでもってクラスに一言を言ってくれればいい。」
大体同じじゃないかと呆れた視線を先生に送る。
そして先生の合図により1番から自己紹介が始まった。
それを横目に先生は教卓の横にある椅子に座って欠伸を噛み殺している。
やる気のなさそうな先生だなあと前を向くと、前の席の宝城の様子がどうにもおかしいことに気がついた。
後ろからだと分かりにくいが、とても焦っているような感じがする。
自己紹介中のため異変に気がついても何も言ってやれないが、何となく理由は察していた。
先程の会話からすると彼には精霊が居ないのだ。
つまり、それは属性も言えるわけがなく、どうしようか悩んでいるといったところだろう。
属性が無いです。なんて言えるわけがない。
それは法に違反することにも繋がるからだ。
精霊と協定を結んだいまや、精霊と共存することは必要不可欠。
しかし、見えないモノとの共存など不可能に近いことは明らかだ。
そういった意味で人間は精霊の加護を受けて、精霊と共存しているという姿勢を見せなければならない。
それが規則であり、マナーであり、ルールだ。
それがなされていないなど、周りからの非難と軽蔑の的。
それを自分でも理解しているからこその焦りだと分かる。
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