第一章

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しかし、自分には関係ないと、透は何気なく左を向いた。 すると、そこにはこちらを、正確には宝城をチラチラと見ては焦っている少女が目に入る。 その目は心配している様。 宝城の知り合いだろうか。 透はジッとその少女を眺めた。 明るい茶髪に茶色の瞳。 長く伸ばした髪は僅かな横髪だけを残して高い位置に結わえられている。 綺麗に整えられた顔立ちは、誰が見ても可愛く映るのだろう。 しかし、その少女には今余裕など無さそうだ。 ジッと見ている透の視線にも気づかない。 やはり、彼女は宝城の知り合いで透に話したことも知っていると考えた方が良さそうだ。 そう考えた透は、知っている彼女があんなにも焦っているのに、同じ立場の自分が関係無いというのはおかしいか、と考え、宝城の後ろ姿を見やる。 仕方がないと透はため息を吐いた。
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