第二章

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しばらくするとユタが長方形の細長い木箱を持って帰ってきた。荷物が残り少ないと言ったのは私への遠慮ではなく本当だったらしい。あの小箱の中身はおそらく剣だろう。あんなに小さい体で剣か…。想像つかんな。  「引っ越し終わりか?話したい事があるのだが。」 「はい。終わりました。どうぞ何でも聞いて下さい。」 質問責めになる事は分かっていたか。ある程度自分の立場を分かっているらしい。リビングにテーブルがありそこに座るように促す。恐らくこれからはここでご飯を食べることになるのだろう。学食を利用しなければだが。 「そうか、じゃあまず魔力が無いのは本当か?」 「はい、本当です。」 特に気にした様子もなく答える。表情が読めんな。これで腹の中が煮えくり返ってたら笑えるのたが。いや、笑えないか。  「何故魔力がない?」 「諸事情により。」 なんだそれは?答えになってないのだが。この世に魔力が無い奴なんて99%いない。魔力がない魔盲は極めて珍しい。  「じゃあ、今まで実技はどうしてたんだ?」 「筆記で点数を稼いで来ました。」 この学校のテストは筆記と実技がある。 進級したということは座学は出来るようだ。だがこのご時世だ。頭だけで生きていける程甘くはないがな。 
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