プロローグ

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小雨が降る路地裏に2つの人影があった。1つは大人。もう1つは10いくかいかない位の少年だった。加えて少年は抜かるんだ地面に蹲っていた。 「オラッ!!!」 突如男の蹴りが鈍い音と共に少年のお腹に入る。少年は気を失っているのか小さく呻き声を上げるだけで抵抗する姿を見せない。いや、抵抗することを諦めたのだ。 少年は嫌われている。世界中の人から……。  「どーした?抵抗してみろよ?」 今まで彼を蹴り続けた男が嘲笑いながら言う。その言葉に反応もない。少年の体には幾つもの痣や傷があった。ギリギリ服としての原型を留めている布切れを捲ればさらに見るに堪えないモノが見えるだろう。 少年は髪が白い。これは珍しい髪色だが嫌われる原因はこれではない。  「ヒャヒャヒャ、抵抗出来ねーよなー。なんてたって魔術も使えないんだからな?」 そう言ってまるでボールでも扱うかのように少年の頭を踏みつけると彼の顔が地面に摺り付けられ口の中に砂が入った。 少年は魔術が使えない。というより魔力がない。確かに少数派ではあるがこれも嫌われる原因ではない。
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