two.

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 城へくると、見たこともないような町模様にこどものような声をあげ、見たこともないような装飾の施された城に絶句した。 王はまだ若く、30歳ほどだった。話をきくところによると前王は歴代よりも早く命を絶ってしまったとのことだった。  王はとりわけ整った顔をしているわけでも、威厳があるふうにも思えなかった。どちらかというとそそっかしく、思ったことをあまりいえないようなタイプだった。 「ああ、その。このまま私のそばにいてはくれないか」  とりあえずでやってきたその日の夕方、いい年をした大人のくせにあのだとかそのだとかを繰り返して、ようやく王はそう言った。  長年あの小さな離れにいたせいか、私は湧き上がる好奇心に勝てるすべを知らなかった。それに、年甲斐もなく顔を赤くする青年のような王に愛されてみたいと思った。その場で結婚を承諾し、着々と王妃になるための準備が進んだ。  だがマナーなどとよばれるものを全く知らない上に、ダンスもろくに踊れないばかりかドレスや化粧の纏い方も知らなかった。日々が重くすぎていく。 だが、楽しいと思えた。あれだけ作業のようだった日々に色がつき、知らないことが知識として入ってくる。楽しかった。  どうみても庶民の、品がない女を睨むものも多かったが、それでも王は私を励まし、どんなときも気弱そうに笑いかけてくれた。  かつてあの村でさげすまれていた生活とは裏腹に、みなが私に頭をたれ、様付けし、媚を売る。その極端な周りの違いにおかしくもあった。
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