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正式に婚約を発表する前夜、隣国の王が祝いに尋ねてきたとき、私を見て「ほう」と声をあげた。
「これはまた美しく若い娘を嫁にもらったのだな。貴殿の歳も考えたまえよ」
と冗談交じりに言った。
つい、こらえきれずに笑ってしまった。隣国の王は若く見積もっても四十後半で、私の推定生涯の半分ほどしか生きていない。だが、笑ってしまったことで多大に不愉快に思ったのか、隣国の王は首をかしげ、そして夫になる王も首をかしげた。
「そういえば、17以上であるだろうと思って聞いていなかったけど、一体いくつなんだい?」
この国の決まりで17歳以上の人でなければ結婚できないというのは聞いていた。
「さあ。ご想像におまかせします。きっと、いずれわかる」
私はそういい負かした。歳を伝えれば、どんなふうに差別されるかわかったものではない。
部屋に戻って鏡を睨むように見た。何十年も変わらないその見た目。青く白い肌に、深く閉ざされた海の底のような青い瞳と、色の抜けた白い髪。氷のようだ、と思った。
私はずっと、氷のようにときがとまったまま生きていくのだろう。
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