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それからことは面白いまでに転がり、翌年私は瞬く間に王になった。
国の法律はたったの三年でがらりと変わり、預言者が残して言った言葉のようになった。
王子や他の王族は、みな彼女のためにつくす。
そのようなふざけた預言者の言葉を鵜呑みにした人たちは、息子や夫よりも、私の身分を下げてしまった。私は王だったけれど、王は他の王族とは全く別個の地位にされてしまった。
夫は私を見なくなった。どこぞの貴族の女に現を抜かし、もう私に笑いかけることも、情けない顔をすることもない。息子も、時々呪わしい目で私を見る。
かつては夫がついていて、そしていつか息子がつくはずだった王座に、国が滅びるまで私が据わることになったのだ。
ああ、ほらね、と思った。
あのとき死んでいれば、私は幸せなまま死ねたのに。後悔し始めている自分に、笑いたくなった。
いたずらに齢をかさね、100をとうに越え、夫が死んだ。老衰だった。
最期に夫は言った。「ああ、あなたなど、王妃に迎えるべきではなかったのか」と。
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