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弟よりも私のほうが幼いことに気づいたのは、私が4歳のころだった。
弟は私が2歳のときに生まれたので、私が4歳のとき弟は1歳だった。
とりわけ不健康に華奢であったわけでもなければ、極端に物覚えが悪かったわけでもない。4歳歳相応の言葉遣いと語彙でコミュニケーションをとっていた。
つまり、これといって生まれつきの欠陥を持っているわけではないはずだった。
4歳のこどもが2歳のこどもよりやや小さいなどと、そんなはずはない。だけど、周りの同じ歳の数人と比べ、私だけぽっかりと浮き上がって幼かったし、小さかった。
首を傾げる親。不安な私。私より大きくて、優越感に浸る弟と友達。幼いこどもからして、小さいというだけで私は格好のいじめの標的だった。
そのときから徐々に、私の成長が極端に遅いことがはっきりとしていく。
小さな子供たちにはぶかれる程度の扱いだったものが、徐々に大人までが私を気味悪がり、差別をした。ヒソヒソと囁かれる程度だったものが、段々と悪化していく。
露骨にいやな顔をされ、次第に罵声に変わり、野菜をぶつけられ、私は外へ出られなくなった。
両親が老いてゆき、弟が大人になっても、私はまだ子供のままだった。
けれど頭は確かに22年分の知識を持っていて、周りの目がどのように私を見ているのかよくわかった。何度も消えてしまいたいとそう願った。
最初周りが私を嫌うからと私を煙たがっていた弟も、16歳になったあたりから急に優しくなった。ずっとこどもの体のままの私に気を使い、のちに知ったことだが両親が私を山へ捨ててくることに反対していたらしい。
「姉さんは僕が守るから」
そういって、姉である私のことを子ども扱いするように抱きしめた弟のぬくもりを、私はたった一つの宝物としていた。
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