2人が本棚に入れています
本棚に追加
私だけ歳ばかり重ね、見た目はずっとあの日に思った氷の姿のままだ。
冷たく白い髪。青く白い肌。深い深い海のそこのような青の目。
一体私はなんだったのだ。
誰か答えをくれる人間はいないのか。
じっと目を閉じて自分に死が訪れるのを待っていると、足音がした。
うっすらと目をあけると、そこには数回しか言葉を交わしたことがない、孫の、孫。
どことなく夫や息子の面影を残している。
彼女は私の見た目と変わらない歳だった。美しい金髪をしていた。きっと私と並ぶと姉妹のように見えるだろう。
「逃げないのですか?」
そう尋ねる彼女の声が、私を愛しているといっていた夫に、どことなく似ているような気がした。
性別もちがうし、そんなはずはないのだけど。
最初のコメントを投稿しよう!