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氷の私には、少し熱いように感じた。だけど、触れた指先から私を凍らせていた温度があがり、どんどん熱くなっていく。最終的に心臓に行き届くと、ドクンと心臓が脈打ったのがわかった。それは、もしかすると波がぶつかった地響きだったのかもしれない。
けれど私は、母のおなかの中で生を受けたような気分だった。
重たく張り付いていた後悔と孤独が一気にはじける。
私は私としてこの世に生を受けたことを、決して後悔していないということに気づいた。
世界の終わりは、私にいたずらに老いずに生きる体に産んだ神がくれたプレゼントなのではないかと、それこそ御伽噺のようなこっけいなことを思った。
彼女の手を握り、目を閉じる。
見届けよう。この世の終わりを。
そして、私のこの幸せな死を。
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