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電波受信しちゃう居候
幽霊というものを信じるだろうか。
魂などという目に見えないし触れられない物が存在し、脳や神経の一切を保持していないにも拘わらず怨念だのなんだのを持っているという説。普通に考えて、有り得ない。非科学的だ。
物質でなければ物理現象は引き起こせないし、視認出来ない。声帯及びそれを震わせる呼吸気管が無いのならば声を出せない。
つまり、幽霊なんて非科学的で、存在しえない存在だという事だ。
それを踏まえた上で俺は、幽霊を信じている。
だって見たんだもん。話したんだもん。信じるしか無いでしょ。
それは小学生の時で、両親は仕事にかまけ、妹は身体が弱く、友人もいなかったから、1人、家で遊んでいた時の話だ。
俺が玩具で遊ぶ音以外は無かったはずなのに、気付けばソレは、俺を見下すように、俺の前で立っていた。
あなたはだれ?
首を傾げて聞いたら、ソレは無言のまま俯いた。
体調が悪いの?
俺はさらに問いを重ねる。
そしたらソレは、頼みがある、と、今にも消え入りそうな声で言い、色を失った身体で歩み寄ってきた。
だが、窓から入り込んできた斜陽のせいで、顔は見えなかった。
なに? と小首を傾げると、ソレは言った。
――妹を、大事にするんだぞ。
そして、ソレは消えた。
その突拍子の無い光景と現象を俺は、子供ながらにこう思った。
――意味が、解らん。
だってそうだろ?
超常現象が起きてまて伝えられたメッセージが『妹愛せひゃっほーい(思い出補整)』だぞ? 意味が解るやつ居たら名乗り出てくれ。そして言いたい。お前はなんらかの怪しい電波を受信している、と。
話が逸れた。
つまりだ。俺はそういうわけで、幽霊を信じている。
そして幽霊を信じているからこそ、子供とは名乗れなくなった今でも、妹を愛している。
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