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人工知能プログラムの云々を知ったのは、中学生の時だった。それからそれに魅入られて、俺は科学の勉強に勤しんで、勤しみ過ぎてちゃんとした青春を送り忘れていた。
俺が作りたい人口知能プログラムは、既存のものとは違う。いわばあれだ、ドラえもんだ。ドラえもんが作りたかったのだ。道具を出さないドラえもん。
あの感情の起伏、そしてリアリティはロボットとは思えない。まああれはアニメなのだが。
とにかく、天然の物と違い無い感情を作り出す事。それが俺の目標。
にも拘わらず――
――感情ってなんだ!?
解らん! 蓄積された記憶から生み出されるだとかシナプス云々の理論は解るが、感情そのものが解らないのだ。
高校卒業前に担任に相談したら、「まともな青春も送らずに感情が語れるか」と鼻で笑われた。担任曰く、青春及び思春期とは感情を育てるために重要な時期であり、その時期に感情の起伏を覚えなければ、淡泊な人間になってしまう、らしい。
やばくないか? これ、結構やばくないか?
感情を人工的に作り出そうとしてる人間が感情を知らないって、上流階級の武士が農民の畑仕事手伝いますよって言って刀を握ってるぐらい「は? お前何言ってんの?」な感じじゃないか。頼りにならないむしろ何しでかすか解らないからやめてくれ、なフラグじゃないか。
しかし、俺はまだ若い。
確かに青春の代名詞とも言えるだろう高校生活は研究と勉強に明け暮れていたが、大学では、勉強と共に感情も学ぶのだ。そうすれば、まだ間に合う。
とりあえず予習として、色んな小説を読んだ。感情を知るには感情描写が豊かな物を、と思い、一人称の小説をとにかく読んだ。
ところで、ライトノベルと純文学の違いってなんだ? 国語の勉強はあまりしていなかったから、俺には解らなかった。
予習のステップアップのため、エロゲもやった。
感情を言葉で理解したら実践。という事で、相手の考えや求めている物を予想しながら選択肢を選ぶ、という行為は、感情の勉強には持って来いだと思った。さらにエロゲには妹系の物も多くあり、妹大好きな俺としては勉強意欲も涌き水が如く溢れてきた。
予習も完璧にして、大学生活へ。
そして俺は、予習の甲斐あってか、なんと――2人の友人が出来た。
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