電波受信しちゃう居候

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「現実逃避ってねぇで、ささっと片付け作業に入りやがれ」 「……ですよねー」  言われて、部屋の隅に目をやった。  そこにあったのは、思わず『居た』と言ってしまいそうな程、リアルな人形だった。正確には人形なんかではなく、中にありとあらゆる機材を詰め込んだ俺達の最新作であり、人工知能プログラムを搭載したロボットなのだが。 「だがねぇ、まさか」 「ああ、まさか……」  池田と2人で、その人形に目をやる。  淡いブラウンのツインテールに色素の薄い瞳。清楚というよりも虚弱だと思ってしまうような身体つきと肌の色。そして――頭部から漏れ出す、黒い煙。 「まさかのまさか。作動15秒でヒートしちまうたぁ……」 「しかもその5秒後にフリーズという特典付き」  実験は失敗だった。  見事な完全度の人形を組立ててくれた坂井には悪いが、熱処理のほうもして欲しかった。 「しかし、例え熱処理をもっとしっかりしていたとしても、フリーズのほうはな……。やはり、個体そのものにデータを蓄積させるのは難しいか」  俺は呟きつつ、持参しているノートパソコンに目をやった。  サークルの維持費がじり貧の現状、こういった道具もサークルに常設出来ない。故にプライベートと共同のパソコンだ。  それを片付け、人形に熱処理を加え、立ち上がる。 「今日はここまでにするか」 「あいよ賛成ー」  そして、その日は解散となった。  大学は敷地は広いが門外は住宅街になっていて、学生は大人達により監視されていますと告げられてる気分になるから、少し居心地が悪い。  他の学生からしたら下宿先が学校の近くにあるという利点になるが、とにかく家賃が安い場所、というのを優先し過ぎて、その利点は俺とは関係無い物になっている。  歩いて20分の場所にある家。大学から近くまでバスも通っているが、金が勿体ないから使わない。車は原チャリも然別。故に俺は徒歩だ。自転車を使うと大事なノートパソコンに傷が付きかねないからな。
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