電波受信しちゃう居候

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 家に着いた俺は荷物を置いて、簡易テーブルの上にノートパソコンを広げた。座布団も絨毯も無いフローリングの上にそのまま座り、玄関で立ち尽くしていたソレをソファー兼用のベッドに座らせた。  ソレは終始無言だった。機械なのだから、当たり前かもしれない。  ふと、テーブルの上にある写真立てが目に着いた。いつもは在って当然だから気にしないが、今は状況が違う。  写真立てには妹の写真が入っている。二次元のじゃないぞ。本当の妹だ。  妹は生れつき身体が弱かったせいか、俺と2人で撮った写真は無かった。本当はあったかもしれないが、こっちに来る時両親のアルバムから勝手に持ち出してきた物だから、えり好み出来なかったのだ。  しかし何故それが今更気になったかというと、すぐ後ろのベッドに座っているソレが、妹にそっくりだからだ。  そっくりなのは当然だ。なにせ、この人形は妹をモチーフにして作ってもらったのだから。  俺は妹が大好きだ。部屋に妹の写真を置いて、いつでも見れるようにしておくぐらいに。  いつだか池田に「お前のそれはもはや病気だ」と言われたりもしたが、俺の妹を想う気持ちを甘く見ないで頂きたい。妹のためになるならば、俺は自分の人生を棒にしたって構わない。鉄棒でも木棒でもいい。ただプラスチックじゃ諸過ぎるから勘弁してくれ。  しかしその愛をこの機械に見せつけるのはなんとなく気が引けて、機械に気を使ってどうする、と思いつつ写真立てを伏せた。  そのまま自然な動作でパソコンを起動。さっきサークルの部屋で最後にやった、人工知能プログラムをネットに接続する、という作業が正常に作動してるかを確認した。  だが、正常に作動していなかった。俺が作った人工知能プログラムとネットの接続は、OFFモードになっていたのだ。  人工知能プログラムをネットに接続する、というのは、部室で池田と話していた通り、取るべき言動をネットから拾う、というシステムになっている。だから、それがOFFモードになっている場合、人工知能プログラムは作動しないはず。  後ろを見ると、ソレは眠るように目を閉じていた。自動でOFFモードになっていたのか。いつの間に……。  まあいい。チェックしたい項目もチェックしたし、とりあえず、エロゲやろ。
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