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**the present**
「ごめん。俺が悪かった!」
今、目の前で頭を下げるこの男
──赤/西仁
茶色い髪に茶色いアーモンド型をした瞳。
「…悪いと思ってるんなら、土下座しろよ。」
表情一つ変えず冷たい目で冷たい声でそう言えば目の前の男は眉間に皺を寄せながらも…─哀しそうな目をした。
「─…いいよ。お前がそれで気がすむんなら土下座でも何でもする。」
そう言うと男は…仁は、地面に膝をつき頭を下げた。
あぁ。何て滑稽なんだ。
その情けない姿に心に何かが込み上げ俺の口元は笑みを描いた。
仁は頭を下げたまま言葉を続ける。
「本当に、本当にゴメン!いくらだって謝る!何だってする!だからっ─」
ウザイ髪…
俺の右足は地面に平伏すその茶色い髪を頭を踏みつけていた。
「謝って許されるんなら警察はいらないってよく言うよな?
お前の土下座ごときで全てがチャラになんかなると思うか?」
「…ッ!」
はは…動揺してやがんの。
「…─かず…」
ああ、懐かしい呼び方だな。
仁は震える声で俺の名前を呼び何度も謝る
俺は右足に更に力を込め頭を地面へと押し付けた。
楽しいねー
人を踏みつけるのは心が踊るほどに楽しい。
こんなに楽しい事をお前は、──お前らは俺にやってたのか。
「─は、あははっ」
笑いが止まらない
俺は腹を抱えて笑った。
「、か、ず」
何だよその目?
俺が悪いのか?
いや、違う。悪いのはお前だ。
俺はしゃがんで仁の髪を掴み顔を近付けた
「なぁ?本当に悪いと思ってるんなら、今この場所から飛び降りろよ。」
笑顔でそう言えば仁の目がこれでもかと言う程に見開かれた。
“ずっと好きだった。愛してた。だから、怖かったんだ”
愛してるんなら出来るだろ?仁──……。
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