短編其の壱

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ドアの向こうで誰かの話し声が聞こえた。 「…しろ…き……。」 ! し ろ ゆ き 私はドアを開けずに、その会話をじっと聞いた。 「白雪は、綺麗なコでしたね。」 「あぁ、普通に生まれていれば良かったのにな。」 「あれだろ?例の実験のやつだろ?」 「そうらしいな。気の毒に。」 「白雪が黒雪のいいとこ取りで黒雪が白雪の悪いとこ取りだっけか。あの実験って、王様が絡んでるらしいぜ。」 「そうだよな。ここの施設じゃどう考えても無理だよな。」 私たちが実験体。 私はこの会話をしばらく聞いていた。 この会話からすると、 私たちは、王様の優れた子孫繁栄の為の実験体で、王様の為に創られた生物らしい。 白雪は私から善い部分を取り、私は、白雪の悪い部分を取って生まれた。 正確には、遺伝子改造によってそうさせられた。 だが、その遺伝子改造には副作用や弊害があるらしい。 それは、一卵性双生児限定ということ。 その実験を行う時に、時期よく私たちの誕生がわかったらしく、王様が両親と交渉し、結果私たちは改造された。 しかし負担が大きく私たちが生まれたすぐ後に、母は死んでしまった。 父には、母は流行り病で死んだと聞かされていた。 まぁ、私たちの出生に関しては、こんなものだ。
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