短編其の壱

4/8
前へ
/8ページ
次へ
「それにしても、あの三年前ねあの事件は酷かったな」 「あぁ、白雪様の殺害だろ?犯人ってあいつだろ?」 犯人!? 私は再びその会話に聞き耳を立てた。 「黒雪。」 私-------? 「副作用あるだろ?黒雪の場合は、人格が変わるらしいんだよ。裏の人格は思ってるコトと逆のコトするらしいぜ。」 「まじかよ。怖っ…。おいそろそろ戻るぞ。局長に怒られる。」 二人の男は、足早にその場所から離れてしまった。 白雪を殺したのは、私…!? 「うわぁあぁあぁぁぁあぁああぁあああっ…!!!!」 叫ぶと同時に、白雪を殺した記憶がよみがえった。 「誕生日おめでとう。白雪姉さん。」 「ありがとー。黒雪も誕生日おめでとう。」 「ちゃんと、誕生日プレゼント用意したんだよ?受け取ってくれる?」 「本当に?ありがとう黒雪ー!何々?」 ガチャ… 「黒雪…?その拳銃どうしたの…?」 「はっぴーばーすでー。しろゆき。」 バァン… 私がためらいなく撃った弾は、白雪の右肩を貫通した。 「うぐっ…くろゆ…」 「あはははっ…、ばいばい。」 白雪の眉間に拳銃を突きつけながら言ったんだ。 「……………。」 白雪は抵抗もせず、眠るように静かに瞳を閉じた。 「」 バァンッ! 私が放った弾丸は、白雪の眉間を貫いた。 「えっ…?姉さん。」 血溜まりに倒れている白雪。 白雪の眉間に空いた穴。そこから流れ出すまだ温かい血液。 白雪の幸せそうな顔。 私の手に握られた拳銃。 「あ…え…、嘘……」 もう肉体だけになった白雪を抱え、揺さぶった。 「ねぇさん、ねぇさん…?」 揺さぶる度に、白雪から血液が流れてゆく。 白雪は死んだ。 私が、白雪を殺めた。 全ての記憶がよみがえった私は、急いで自室に戻った。 そして、本棚に隠した拳銃を握り締めた。 弾は残り三発。 私と父と王様。 握り締めた拳銃を、バレないように
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加