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「でねー!校門で春夢を待ってる間にね、桐原くんが来て!ばいばい、だって!きゃーっ!!」
桐原くん、という言葉にドキッとした。
希楽と2人で歩く帰り道。
いつもと同じ道だけど、私の心は普段と全く違った。
ほんの十数分前のことを思い出す。
桐原くんは、
先生を殺した、殺人鬼。
…だめ、また震えちゃう。
俯く私を心配そうに覗き込む希楽。
「ちょっと春夢、大丈夫?さっきから顔色悪いよ…?」
「大丈夫、なんでもないよ」
希楽は納得していない表情だ。
警察にいわなきゃいけないのは分かってる。
でも、言えるわけがない。
言ってしまえば、また誰かが殺されるかもしれないんだ。
それが、この希楽でないとも言い切れない。
私は、自分が間違ったことをしていることも、彼に怯えていることも理解していた。
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