ある日の藤森さん

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*** さて、午後も仕事だ。 欠伸をかみ殺し、エレベーターに乗り込む。 目を瞑ると、すぐにでも寝てしまいそうだった。 一服してから戻るか。 目的階へのボタンを押し、扉が閉まるのを確認してから壁に体重を預けた。 ねみぃ… それからすぐにエレベーターが止まった。 あまりにも早かったので、誰かが乗り込んでくるんだと理解する。 扉が開き、女社員が乗り込んできた。 本当に偶然だった。 そいつの首からぶら下げられていたネームプレートが一瞬で見えてしまった。 北條奈那子 確かにそう書いてあった。 そう、あの猫を生み出した哀れむべき人間と、偶然にも同じエレベーターに乗ってしまったのだ。 …そこからは笑いを堪えるのに必死だった。 北條奈那子の存在を確認してしまったもんだから、あの猫が俺の脳内を駆けずり回った。 …しかしこの女地味だな。 なんだこの引っ詰めた髪にグレーのパンツって。 …良い身体してんのにもったいねーな。 しかもさっき一瞬見た雰囲気、素材悪くねーのに。 そんなことを考えながら北條奈那子を見ていると、エレベーターの扉が開き北條はさっさと出ていった。
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