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さて、午後も仕事だ。
欠伸をかみ殺し、エレベーターに乗り込む。
目を瞑ると、すぐにでも寝てしまいそうだった。
一服してから戻るか。
目的階へのボタンを押し、扉が閉まるのを確認してから壁に体重を預けた。
ねみぃ…
それからすぐにエレベーターが止まった。
あまりにも早かったので、誰かが乗り込んでくるんだと理解する。
扉が開き、女社員が乗り込んできた。
本当に偶然だった。
そいつの首からぶら下げられていたネームプレートが一瞬で見えてしまった。
北條奈那子
確かにそう書いてあった。
そう、あの猫を生み出した哀れむべき人間と、偶然にも同じエレベーターに乗ってしまったのだ。
…そこからは笑いを堪えるのに必死だった。
北條奈那子の存在を確認してしまったもんだから、あの猫が俺の脳内を駆けずり回った。
…しかしこの女地味だな。
なんだこの引っ詰めた髪にグレーのパンツって。
…良い身体してんのにもったいねーな。
しかもさっき一瞬見た雰囲気、素材悪くねーのに。
そんなことを考えながら北條奈那子を見ていると、エレベーターの扉が開き北條はさっさと出ていった。
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