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「…」
いや、猫か?
ブタ、にも見えるし犬かもしれない。
なんなんだよ、この耳でかいくせに顔すげーちいせぇのとか、尻尾くるんてなってんじゃねぇよ、お前本当に何者だよ。
「……くっ、く」
自然と笑みが零れる。
いや、笑みじゃねぇな、これは哀れみだ。
こんなブサイクな生物を生み出したこいつのセンスと、生み出されてしまったこの生物への哀れみだ。
「……本当に何者だよ、北條奈那子」
ビルの比較的上階に位置する資料室は、午後になると暖かい陽が差し込む。
ちょうど背にした窓から何かに反射した陽が入り、俺の持つ猫(なんなのかはよくわからないから猫で統一)の描かれた紙がキラキラ光った。
それが妙に新鮮なものに感じて、この猫が実は様々な可能性を秘めたセンシティブな……
…ねぇな。
「…くだらね」
ファイルを閉じ、再び書類の山をかき分けて資料室を出た。
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