花火

2/2

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
外から太陽が照りつけて 暑くてうざったい。 夏なんて嫌いだ。 朝起きたらテーブルの上にメモがおいてあった。 《奈緒へ。冷蔵庫にそうめんをいれときますね。食べてください。母より》 私の家族はお母さんしかいない。 私が中2のときに父は借金を残して出ていった。 母は今でも父を愛してるらしくて 頑張ってその借金を返そうとバイトばっかりしてる。 そんな母をみてると 無性にイライラしてくる。 父も母も大嫌いだ。 冷蔵庫からそうめんをとってゴミ箱にいれる。 お腹も空かずにベッドでゴロゴロしていた。 今は高1だけど夏休みだから 学校はない。 気づいたら寝ていて 夜の7時だった。 寝すぎて頭が痛い。 外から花火の音がした。 あぁ。 今日は花火大会か。 なんか綺麗なものをみたくなって気づいたら私は花火のやってる海岸へと走り出していた。 人がたくさんいて やだったけど 夜空に広がる花火と それが映って輝く海が とても綺麗だった。 私は毎日汚いものばっかりみてきた。 お金のことだけを考える父。 父に依存してる母。 体裁や周りからの目が気になってばっかりの弱い大人。 群れてしか行動できないバカな同級生。 みんな汚い。 でもこの花火は綺麗だ。 私もいろいろなものをみてきた。 私の目に映る景色は 昔のテレビみたいに 色がうつらない。 私に希望なんてあるんだろうか。 そんなことを考えると 景色が歪む。 生暖かい何かが頬を伝う。 涙だ。 私は泣いてるんだ。 自分が弱すぎて嫌になる。 ねぇ。誰か私を救って。 このどん底から抜け出したいよ。 それ以上花火をみると 涙が止まらなくなるから 帰ることにした。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加