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私は家にまっすぐに帰る気分にならなくて
コンビニに寄った。
お金を持ってきてないことに
気づいて
雑誌でも読んでることにした。
「奈緒じゃん。偶然~。」
後ろから声がする。
「あ。うん。」
誰だっけ?同じ制服ってことは
同級生?覚えてない。
「俺のことわかってる?光輝だよ。でこいつが拓也。」
わからない。
その拓也って人の後ろに
いる人も知らない。
「あぁ。はい。それじゃあ。」
関わるのがめんどくさくて
その場から私は逃げた。
家に帰るとお母さんがいた。
「あぁ。おかえり。」
お母さんのやつれた顔が
私へと向けられ
弱々しく笑う。
「ねぇ。いつまで借金返しやるの?まだ1000万も残ってるんだよ。いい加減お父さんの居場所知ってるんだったらお父さんに…。」
「いいの。愛した人を助けるためだもん。私がやらなくちゃ。」
「お金とかバイトとか愛の力じゃ乗り越えられないんだよ!!」
あんなやつのために
自分の体力削ってる母が
憎らしい。
「でも…。私はお父さんを愛して…」
「愛してる?何それ。意味わかんない。もういい。」
私は外に出ていった。
「あ…。奈緒!」
行く場所もないのにどこ行くんだろ。私。
感情的になって先も考えないとか私もバカだな。
本当何やってんだろ。
さっきのコンビニに行って暇潰しでもしてようか…。
「あ。また奈緒じゃん。買い忘れ?」
えっとさっきのこうただっけ?
「ねぇ。こうただっけ?今日家泊めて。」
「え?え?今日は無理だわ。てか光輝だし。」
光輝はパニクって返事をした。
「そっか。」
「じゃあこいつに泊めてもらえば?」
えっと…
名前が…。
そうだっ。拓也だ。
「拓也?今日泊めて。」
「やだ。めんどくさい。」
「は?めんどくさいことはしないよ。だから泊めて。」
「やだ。」
「お願い。」
「無理。」
頑固だな。
「じゃあよろしく~。」
「は?ったく…。」
私たちは光輝と別れて
拓也と二人っきりになった。
「じゃあ行こ。」
「図々しいやつだな。」
って言いながらも家に案内してくれる拓也は優しい。
「着いたぞ。」
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