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参拝者のほとんどが町の住人であるこの神社は少し変わっている。
神というものを祀っていないのだ。
それにも関わらず、参拝者が途絶えることはない。
そもそも神社というものは、祭祀を行う時に神々を招いた祭殿を常設化したものだと考えられている。
この時の神とはいわゆる自然崇拝からきていたが、今では名高い人物を祀り崇拝の対象としているところも多い。
一般に参拝者が祈祷する場が設けられている社を拝殿といい、神体が安置されている本殿はその奥に立てられている。
御神体は神が宿るとされている物体のことで、神木や岩がそれに当たる場合本殿を持たないこともある。
しかし、五神尊神社には本殿があるにもかかわらず、その中に神体が安置されていないというのだ。
神菜はそれを祖父から聞かされたとき、不思議でたまらなかった。
それではインチキだ、と幼いながらに祖父に食ってかかったが、複雑な色を宿した目で、
「お前にもいつか話さねばならない時が来る」
と言われてはもう何も言う事ができなかった。
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