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さらに不自然なのが、わざと開けたままにしてあるかのような穴の状態である。
明らかに昨日今日で掘られたものではない。
穴が崩れて塞がれないように石でも詰めたような痕跡があり、壁面は苔や雑草で覆われている。
更に、穴の周りを囲むようにして木の杭が打ち付けてあり、木の杭同士は縄で繋がれていた。
それに、立ち入るのを禁じているかのような雰囲気を感じ、縄の外から穴を眺めることしかできなかった。
アレは一体なんだろうか?
祖父からも、父からもその穴の存在について聞かされたことはなかった。
まさか2人がその穴の存在を知らないということはないだろう。
ではなぜ今まで話してくれなかったのだろうか。
一度生まれた疑問はむくむくと膨れ上がり、仮説が出来上がる。
これは、御神体の秘密と関係があって、意図的に存在を隠されたのではないだろうか。
その晩、私は父を捕まえて、あの穴について聞き出すことにした。
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