五神尊神社

7/12
前へ
/36ページ
次へ
さらに不自然なのが、わざと開けたままにしてあるかのような穴の状態である。 明らかに昨日今日で掘られたものではない。 穴が崩れて塞がれないように石でも詰めたような痕跡があり、壁面は苔や雑草で覆われている。 更に、穴の周りを囲むようにして木の杭が打ち付けてあり、木の杭同士は縄で繋がれていた。 それに、立ち入るのを禁じているかのような雰囲気を感じ、縄の外から穴を眺めることしかできなかった。 アレは一体なんだろうか? 祖父からも、父からもその穴の存在について聞かされたことはなかった。 まさか2人がその穴の存在を知らないということはないだろう。 ではなぜ今まで話してくれなかったのだろうか。 一度生まれた疑問はむくむくと膨れ上がり、仮説が出来上がる。 これは、御神体の秘密と関係があって、意図的に存在を隠されたのではないだろうか。 その晩、私は父を捕まえて、あの穴について聞き出すことにした。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加