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「はぁ…はぁ…定君…ここは私が…何とか…するから…逃げな…さい」
胸をぶちぬかれいつ死んでもおかしくない状態のウィンクはそれでも倒れる事なく、定に告げた。
「いやです!師匠を置いて逃げるなんて!」
定は涙ながらに訴えた!
「どうせ…私は…もう長くはありません…だから…」
ウィンクは懇願するように告げた。
「それでも!!」
定は自分を育ててくれた人を見捨てる事は出来なかった。
「…修一君…君なら…わかるね?」
ウィンクは定を説得するのは不可能と思い、この中で一番冷静な修一に話をふった。
「納得は出来ません。したくありません。でも…」
修一は端から見ても辛そうな表情がわかるくらい顔を歪ませながら、そう告げると定に手刀を見舞った。
「な、何を…」
定はいきなり無防備な所に一撃もらいそのまま意識を失った。
「真人…俺を恨んでくれてもいい…だが、今は一緒に逃げてくれ」
定を抱えた修一は未だ嗚咽を漏らす真人に優しくも厳しく言った。
そして、真人もそれに応える様にゆっくりと起き上がると近づいて来ていた修一の手を黙って握った。
「おいおい…勝手に逃げれる段取りで話を進めてるが逃がすと思っているのか?」
ヴォルジャッジが呆れながら告げる。
「残念…ですが…私が…命を…かけますから…ね。それくらいは…見逃して…もらい…ますよ」
それに対し、息も絶え絶えながらウィンクは答えると―
「はあぁぁーー!!」
とても死にかけとは思えない程の闘気を爆発させ、彼を中心として敵と味方を分ける様に巨大な竜巻が出現した!
「さぁ…今のうちに…早く!!」
「わかりました!タイムシフトーー!!」
修一はウィンクの叫びにも近い訴えを背に、自分の持てる力を全て使いきる勢いでその場を離れた…
そして数分後―
大爆発とともに城は―
否、島はこの世界の地図より姿を消したのだった…
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