変人

5/14
前へ
/14ページ
次へ
家に居ることも好きでは無い私は夜の10時だと言うのに財布を持ってコンビニまで出歩く。 買う物はその場で決めるから目的は無く外の空気を吸いたい口実。 帰る頃には両親は眠っているだろう。 普通は女の子をこんな時間に出歩かせる親は居ないだろう…叱って注意してくれるだろうが私の親は変わり者。 そんな私も変わり者だ。 コンビニに入ると見たことがある人に出くわす。 と言うのも今日会ったばかりでぶつかってしまった先輩様だ。 本を立ち読みして居るのを横目に素通りし飲み物コーナーへと足を運ぶ。 入ってきたときは気づかなかったみたいだが後ろを通りガラスに映った事で気づいたのか振り返る。 名前なんて知らない人に呼び止められる。 「君、今日ぶつかった子だよね?家この辺なの?」 『…はい』 雑誌を戻し近づいてくる。 「女の子がこんな時間に出歩くなんて危ないよー?知らない人に連れて行かれたらどうすんの~?」 『こんな自分連れてく人なんて居ないですよ』 飲み物コーナーの扉を開けグレープフルーツ味のドリンクを取り出す。 「いやいや、君可愛いから」 『可愛くないです。ナンパですか?』 ナンパかなぁ~?なんてへらへらしながら疑問で答えてくるので速攻 ナンパです と答えてやる。 私が移動する事にそいつも後ろからちょこちょこ付いて来るから何ですか?って聞くと何となくと言ってきた。 『(ん~うざい。)』 レジに持って会計をしてるとさっきの先輩様は出口を出て行った。 『(なんだあいつ?)』 お釣りを受けとり袋を掴むとさっさと出口に向かう。後ろからはありがとうございましたーと気だるげ。 店から出ると横から声が聞こえ振り返る。 先輩様がめちゃくちゃ笑顔で見てました。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加