振られた僕と、死なれた彼女

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 深く傷ついてるだって? ご飯も食べられない位だって? よく言うよ。そういうのを自業自得っていうのさ。すべての業は人工衛星みたいに俺たちの世界の周りをくるくると回っている。あんたはちょいとそいつが頭にぶつかって、ふてくされているだけなんだよ。それで、月に向かって吼えているだけなんだ。そんなの被害妄想となんもかわりゃしないさ。まあ、取り返しの付かない物事があるって分かっただけでも、よしとしておきなよ。  僕は大きなため息をつく。  僕はその海鳥の死体的な箱にそっと手を触れ、その口を塞いでいるガムテープをなぞる。つるつるした表面は、やっぱり冷たく死んでいる。
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