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わたしは大きく息を吸い込んで 先輩の顔をまっすぐに見た。 「でも、あの時は本当に腹が立ちました」 「………………。」 「確かに、有起哉と会ってたのに 嘘をついたことは、謝ります。 でもあなたが、想像していたような事実は 一切ありませんでした。本当です」 有起哉の気持ちは置いといて、 あくまでも主観的に話しを続ける。 先輩は黙ったまま、私の言葉に耳を傾けていた。 「だから、すごく悔しかった…… 大事な友達を、そんな風に見られた事が……」 「……分かっていますよ」 柔らかな瞳が私の目に映った。 「そう分かっていたのに………… 自分を抑える事ができなかったんです。 頭で理解していても、心がついていかなかった。 ……でも、これだけは覚えておいて下さい」 そっと、わたしの両腕を掴んで 静かに言葉を吐き出す。 「友情は確かに存在します……が、 どちらかがそうでなくなり、 相手に違う感情を抱いてしまったとしたら……」 …………しまったとしたら? 「それは…………その瞬間。 アワのように消えて無くなってしまうんです」
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