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……私は『コポコポ』と ふたつのグラスに水を注いでいく。 「どうぞ」 「ありがとうございます」 とりあえず、よく考えてはみたけど…… 自分の置かれている状況が、 いまいち、把握できていない。 グラスを置いたテーブルには 美味しそうなカレーが並んでて…… それを今から、 二人仲良く食べようとしてるところで…… 「高倉さん……?」 心配そうに声をかけるこの御方は、 間違いなく、甲斐修平さんである。 でも、どうしてこの人が 私の家でカレーを食べようとしているのか? …………やっぱり、よく分からない。 「…………」 いきなり、車を停めて出ていったと思ったら いい匂いのする袋をぶら下げて戻ってきて…… 『高倉さんのお宅に……』の言葉も 単に『送ります』の意味だと思ってた。 「やっぱりご迷惑でしたか? いきなり、お邪魔してしまって……」 「い、いえ。大丈夫です。そんなコトないです」 わたしはブンブン首を振りつつも まさかのお宅訪問に、 心中複雑な気持ちでいっぱいだった。
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