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「でも、今日はこうやって
高倉さんともお話しが出来ましたし、
黒すけの顔も見れたので安心しました」
ちょっと照れたような、柔らかい声。
たぶん、わたしを気遣ってくれてるんだと思う。
「…………」
普段、あまり飲まない褐色のコーヒーを
何気なく見つめていた、その時。
わたしの中で、ある小っちゃな疑問が生まれた。
「あの……出張へは、いつ?」
「高倉さんと一度メールのやりとりをして、
確定したのは、そのすぐ後だったと思います。
約十日ほどの滞在でしたけれど」
……やっぱり。
同じ夜を過ごしてから、
もうすでに一ヶ月以上たっている。
二週間近く、メール以外に
なんの連絡もなかったその理由は……
シンガポールに行っていたから。
だとしても……だ。
あの日、あの駐車場にいたのは、
間違いなく先輩だった。
出張から戻ってきて間もないはずの人が
なんで、女の人と買い物なんかしてたんだろう?
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