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「僕って、
そんなに手が早そうな男に見えますか?」
「……は?」
誰が言ったのか知らないけど……
そんなコト、いきなり笑顔で聞かれても
素直に『はい』とは言えない。
「あ……えーと、コーヒーのおかわりを……」
この微笑みに危険信号を感じた私は、慌てて
マグカップをつかみ、立ち上がろうとした。
「いえ、もう結構です」
冷たい指が、手首に触れる……
瞬間、くらっと目眩にも似た感覚が襲う。
ヤバし……これはまさかの『修平失調症』……。
中腰のまま固まっている私に
自分のとなりを指で差し、
それからこっちに向けてクイクイと動かした。
「今、動けない状態なんです」
「え……?」
見ると、胡座をかいたその真ん中に
モコモコとした黒い物体が、のっかっている。
ははぁ。だから、こっちに来いと……
となりに座れと言いたいのか。
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