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「スッゲェ…リンゴみたいになってるぞ」
ククッと口元を片手で押さえて、必死に笑い声を押さえているようだ。
む、ムカつくっ…。
「あ、アンタが行き成り変な事聞くからっ…!」
「変な事って?」
俺を好きになったお前が悪いんだろ。
ニヤニヤと笑みを浮かべるその表情にありありと書いてある。
わ、私、本当に何でっ、こんな意地悪な奴を好きになったんだろう…!
今更ながら悔しくなる。でも、やっぱり好きなのだ。
「おい。危ない」
「へ?わっ!」
行き成り手を引張られたと思ったら、鼻先すれすれに円筒状の灰色。電柱だった。
「前向いて歩け」
「はい…」
こればっかりは、返す言葉もなかったです。
てゆーか寧ろ…助けられて嬉しかったです、はい。
10分もしない内に、家の前に着く。
私と光哉は家までお隣同士だ。しかも…部屋まで隣同士。
用事がある時なんかは窓からお互い行き来したりする事も少なくない。
「じゃあ、またな。階段から落ちるなよ」
「落ちないよ!」
またニヤニヤと笑いながら、光哉が家の中に入って行く。
私もべーっと舌を出して突っぱねてから、自分の家の玄関の扉を開けて、中に入った。
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