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あの頃に戻りたい。
そう思ったのは、これで何回目だろう。
放課後、制服姿の私は毎日ある場所へと足を向ける。
それは双子の幼馴染み
優と翔の部屋。
翔「来るの遅すぎ、何やってたんだよ。」
ブレザーのネクタイを緩め、髪を茶髪に染めているのは双子の弟の翔。
優「まさか、俺達に何か隠し事してるんじゃないよね?」
ネクタイをきちんと締め、ワイシャツのボタンを一番上まで止めているのが兄の優。
顔はそっくりだけど、こう言う所では全くの別人。
翔「俺らに黙って何かやってんのか?」
さっき優が“隠し事”なんて言うから
翔は眉間にシワを寄せて聞いてきた。
そんな翔が怖くて、慌てて弁解する。
紗「急に委員会の仕事頼まれたの…それで…」
視線を下に向けていると、グイッと顎を持ち上げられた。
翔「だったらメールくらいしろよな。」
きつく睨まれたら、それで終わり。
紗「ごめんなさい…」
私は謝るしかなかった。
優「まぁ、ちゃんと来ただけでもお利口さんだよ。」
そう言って優は私の頭を撫でる。
翔に怯える私をなだめる様に。
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