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何で俺だけを避けるんだ。
他の男には普通に接するくせに。
笑っているくせに。
どうして俺にだけ…
話をするどころか…
目も合わせてくれない…
それでもたまに目が合うものなら、大きな瞳に涙を溜めてキツく睨まれる。
彼女は明らかに俺に怯えていた。
俺が何をした?
知らない間に君を怖がらせる様なことでもしたのか?
聞きたくても、君はそれさえもさせてはくれない。
彼女の行動は、俺を日に日に追い追い込んでいった。
そしてある日の放課後
たまたま彼女と帰り道に出会した。
チャンスだと思った。
自分の気持ちを伝えるチャンスだと。
でも彼女は…
俺の姿を確認すると、真っ先にその場から離れようと足を走らせた。
そんな彼女を追い掛け、手首を掴む。
初めて彼女に触った瞬間だった。
奈「っ…いやぁ…!」
彼女は泣いた。
泣きながら俺の手を振り払おうと必死になる。
奈「やだっ…離してっ…!!」
力を入れれば簡単に折れてしまいそうな細い手首。
幸「離すからっ…逃げないでくれ。」
俺がそう言うと、彼女の抵抗は少し和らいだ。
ゆっくりと掴んでいた手を離す。
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