61人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
幸「高校の受験発表の日に見掛けてから…」
奈「………。」
幸「ずっと好きだった…」
頼むから…
そんなに怯えないでくれ…
幸「好きなんだ…」
すがる様に、彼女の手を握る。
奈「っ…」
一瞬ビクッとなる小さな身体。
奈「うっ…こわい…」
握った手が握り反してくれるはずもなく…
泣きながら、彼女は“怖い”と言った。
俺のことが怖いと…
その言葉を聞いた時
一気に力が抜けた。
ああ…
君の瞳に俺が写ることはないのだろうか…
そう思うと無償に悲しくなった。
目の前に好きな女がいると言うのに…
そんな彼女を怯えさせることしか出来ない…
俺は握っていた彼女の手を離した。
奈「私には…あなたが怖い…」
幸「………。」
奈「もうこれ以上、私に関わらないで…」
僅かに空いた隙間から彼女は抜け出し
俺の元から走り去って行った。
その背中を眺めながら
ギュッと拳(こぶし)を握る。
.
最初のコメントを投稿しよう!