【怯える君の笑顔】続編

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奈「はぁ…」 最近ため息が増えた。 その原因は志田孝介。 私がどんなに避けたって、彼はめげずに近づいて来る。 その度に余計な恐怖が私を襲った。 彼の行動にいちいち怯える自分に腹が立つ。 こんな目も合わせない、話し掛けても無視し続けている私のことなんて… ほっといてくれれば良いのに… トボトボと帰り道を歩きながらまたため息を漏らす。 奈「………。」 家まで後数分と言う所で、足が止まった。 と言うより、動けなかった。 何で… 従兄が此処にいるの? 「奈々。」 従兄は私の存在に気付いたようで 一歩一歩近付いて来た。 奈「っ…」 逃げなきゃ… 早く、此処から… どうしよう… 怖くて…動けない… いつの間にか、目の前には従兄がいた。 「久しぶりだね奈々。会いたかったよ。」 奈「………。」 怖い… あの日のことが、鮮明に思い出される。 そして、あの時の従兄の顔も… 「また奈々に“色々”教えてあげたくて来たんだ。」 従兄の手が、私の手首を掴む。 「何処か二人っきりで、課外授業をしようか?」 奈「やっ…」 ガクガクと身体が震える。 怖い… もう嫌だ… こんな風に、私を好きにしようとする従兄も また同じことをされそうになっているのに、何にも抵抗出来ない自分も… 誰か… 奈「たすけて…」 掠れた声は、空気の中に消えていった。 .
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