【怯える君の笑顔】続編

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志田くんが現れたことで、諦めたのだろう。 従兄は不満そうな顔を残し、その場を去って行った。 その背中が見えなくなった瞬間 一気に身体の力が抜けて、地面に座り込んだ。 幸「おい、市川?」 奈「は…」 怖かった… 志田くんが来てくれなかったら 私、また… 考えただけでゾッとした。 幸「大丈夫か?」 奈「…ん……」 不意に溢れる安堵の涙。 奈「ふっ…ひっ、く…」 拭いても拭いても溢れてくる。 それを彼は勘違いしたらしい。 幸「悪い…」 え…? パッと私から離れ、立ち上がる。 幸「俺のこと、嫌いだもんな。」 そう言って背中を向けた。 きらい…? 違う… 嫌いじゃないよ… ただ怖かったの。 貴方の顔が、従兄にソックリで。 でも今日分かった。 例え顔が似てても、やっぱり違う人間なんだって。 どうやって伝えれば良いんだろう… 少しの沈黙の後、私は背中を向ける彼の手をソッと握った。 幸「?…市川?」 奈「た、助けてくれて…ありがとう…」 震える声を絞り出す。 幸「……俺のこと、怖くないの?」 奈「………。」 彼の言葉に、私は首を横に振った。 .
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