【檻姫~オリヒメ~】

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沙「ねぇ、匡…」 匡「ん?」 沙「私、外に出たい。」 ある日の昼 匡の仕事が休みの日に、私は訪ねた。 沙「ねぇ…」 匡「今は雨が降ってるから、また今度ね。」 沙「………雨、降ってるの?」 匡「ああ…」 沙「………。」 ウソつき。 外からはお日様の匂いがするよ? それに雨音も聞こえない。 私の目が見えないから、嘘ついてもバレないと思ってるの? 匡「沙夜?」 沙「なら…仕方ないね…」 匡「今日は俺と部屋で過ごそう。沙夜の好きな小説を読んであげる。」 沙「………。」 “今日は”じゃなくて “今日も”でしょ。 いつも私の言葉を軽く交わすんだ。 沙「明日は、晴れるかしら…」 そうポツリと呟くと、彼の手が私の手を強く握った。 匡「明日も雨だよ。明後日も、その次の日も。ずっーとね。」 沙「……そう…」 貴方が言うなら、きっとそうなのね。 匡「沙夜…君は俺の全てなんだよ…」 沙「……私もよ、匡…」 貴方は私の世界の全て。 貴方がいなければ、私は生きていけない。 でも少しだけ… 外の世界に憧れることを許してね。 そうじゃなきゃ… 自分が檻の中にいると思い込んでしまいそうだから。 【fin】
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