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純「ねぇ、聞いてる?」
涼「はぁ…っ」
純「何で俺を避けてるの?」
ゆっくりと言葉を発する彼の声からは、怒りが隠っていた。
純「俺が好きだって言ったから?」
涼「………。」
そうよ。
好きだなんて言われたの、初めてで…
それが本当かどうかも分からない。
信じるには、貴方を知らなさすぎる。
涼「私をからかってるんでしょ?今時こんな地味な女珍しいからって…」
きっとそう…
本気にしちゃ駄目。
涼「だったらもう、止めてください。間宮くんモテるんだから、私なんかより…」
一ドンッ…!
ビクッ
涼「っ…?」
鈍い音が教室に広がった。
それは彼が拳を握り、黒板を叩いた音。
純「からかってるって?そんな言葉で俺の告白を揉み消すの?」
涼「間宮くん…」
純「ふざけるなっ」
低い声に、鋭い瞳。
ゴクリと生唾を飲み込んだ。
純「俺は、好きでもない女に告白なんてしない。からかってなんかもない。ずっと見てたんだから。」
握り締めていた拳を開き、私の肩にコツンと額を当てる。
純「頼むから、そんなこと言わないでよ…」
弱々しいその声に、私は何も言えなかった。
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