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流石に可哀想になってきたので、警戒しながら近づいて青年の背中を擦ってやる。
「ケホッ。……ありがとう。大分収まったよ」
「……それは良かったですね」
真っ正面から文句を言ってやりたいが、悲しき事かな。ビビりのため、嫌みっぽく返す事しか出来ない。
恨めしく思いながら、いまだにクツクツと笑っている青年を睨んでやった。
(あら、この人よく見るとイケメンですね)
ポニーテールにした長い茶髪。
くっきりした瞳に、高い鼻。
体も体で、均整がとれている。
(うわ、睫毛ながっ。女の人みたいですねぇ……)
「どうかした?」
ヒラヒラと顔の前で手を振られて、我に返る。
「な、何でもないです!」
貴方に見惚れてましたなんて、言えるわけがない。
必死に首を振って否定すると、彼は小さく吹き出した。
どうやら、またしても私は彼の壺に嵌まったらしい。
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