第二歩

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ええっと………………。 あ、思い出した。人を殺していた青年だ。 ああ、思い出してスッキリ~………て。 「ああぁぁぁぁ!!」 「うわっ」 ずざざざざ!! 音を立てながら、枕元にいた青年から遠ざかる。 過剰反応すぎる? いいえ。決して。 人を殺した人が目の前にいるんですよっ? ヒッキー(引きこもりの事)の私に何を求めてるんですか!? 「ぷ、はははは!」 突然の笑い声に、部屋の隅で丸まっていた私は目が点になる。 (笑われた?) 「怖がられる事は予想してたけど、ぶっ!!」 盛大に吹いて、青年はまた笑いこけ始めた。 (そんなに笑わせる事しましたかね?) それより、そんなに笑いすぎると苦しくな……ほら、やっぱり。 「はははっ、く、ゴッホっ、ゲホっ、くる……けほ」 バンバンと畳を叩き、むせ始める。 息継ぎが上手くいかないらしく、苦しそうに目尻に涙を浮かべていた。
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